研究 / Research

アーキテクチャ科学研究系

鯉渕 道紘
KOIBUCHI Michihiro
アーキテクチャ科学研究系 准教授

サイエンスライターによる研究紹介

コンピューターの性能の鍵を握るネットワーク設計

私の最大の夢は世界一のスーパーコンピューター(スパコン)のネットワークを設計し、日本から世に送りだすことです。大量の情報処理を求められるスパコンのハードウエアには「ロスレスネットワーク」が不可欠だと考え、その研究をしています。

重要度を増すネットワーク

半導体技術の進化に伴って、デジタル端末、パソコン、スパコンなどのあらゆる計算機システムは進化しています。計算機システムは、数値計算や情報処理を行うCPU と、データを記憶するメモリーなどをネットワークで接続することによって構成されています。このネットワークは計算機システム内部に配置されていますので、インターネットなどの広域ネットワークに比べて規模は小さいのですが、大変高速で動作します。
計算機が発達し、処理能力が高まったのは、CPU やメモリーの容量が増えたためです。それに伴って、CPU やメモリーをつなぐネットワークも複雑化し、いかに効率的につなぐかがコンピューターのスピードを左右するようになりました。
このように、急速に重要度を増しつつある計算機システムのネットワークについて、私は理論的なアプローチを重視した研究をしています。私の考えでは、将来にわたり必要となる技術は「ロスレスネットワーク」といって、文字通り、ロス(データが失われる現象)が起こらないようなネットワークの設計です。そのためには、理論的に設計したネットワークを使って、実際のネットワークのどの部分でロスが起こっているかを1つ1 つつぶさに突き止め、改善していくわけです。自分が考えた理論どおりに、計算機のスピードが速くなったとき、この研究の面白さを感じます。

あなたのそばにもロスレスネットワーク

しかし、技術である限り、実用化を見据えた研究であることが大切です。研究成果の応用範囲は意外に広く、身近な例では、携帯電話などの端末があります。ロスレス化によって、小型化、多機能化も可能なのです。さらには、ロスのないネットワークによる電力効率の向上も期待できます。また、一般のパソコンをいくつもつないでスパコンのように高性能化させる場合にも、個々のパソコンをどのようにつなぐのかなどのネットワーク設計が性能を決める重要な要素になってくるのです。

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取材・構成 池田亜希子

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