イベント / EVENT
平成23年度 第1回 Q&A
第1回 2011年6月2日(木)
健康を見守る最前線のセンサー技術とは?
医療を支えるセンサーネット
須藤 修(東京大学大学院 教授)
講演当日に頂いたご質問への回答(全21件)
※回答が可能な質問のみ掲載しています。
人体通信は使っていないのですか?
使っていません。
血糖値は患者さん(協力者)自身が測定して自己申告で入力するのですか?それとも測定器とiPodが自動的につながっているのですか?
血糖値のような医療重要情報は、循環器系の専門医に測定していただいています。個々の重要医療情報のデータベースを構築していただいてセンサーデータと照合し、専門医の判断を適切にするようにしています。
センサーにより身体の状態のセンシングだけでなく、働きかけができるようになる見通しは?
(例)無呼吸症候群のように寝ている最中に無呼吸になった時に刺激を与えて呼吸をさせるとか・・・
すでに専門医から働きかけを行って頂いています。ただし、(例)にあるようなコンピュータの自動的働きかけは現在のところできません。
取得データの中に湿度や照度、騒音が入っているのはどういう理由ですか?(医学的身体状態と相関はあるのでしょうか?)
あらゆるデータを集め、相関があるかどうか分析しています。とくに湿度センサーによる発汗量と被験者の医療的生体情報との相関に関心を持っています。
予防医療と介護に対してセンサーネットワークは異なってくるのですか?
被介護者が、糖尿病などの生活習慣病(およびその予備軍)であれば、介護にとっても有意義と考えています。
機器を持たせるだけで一定の効果があるのは実感できます。 問題は続けさせることで、そのための施策はどのようにお考えでしょうか?(そのあたりはお医者さんの領域かもしれませんが・・・)
センサーデータに関してメールや電話などを通した医師と被験者のコミュニケーションが継続性にとって重要になります。このことは実験でも明らかになっています。
行動情報の分析には、とにかく多くの(連続した)センシングデータと「その時何をしていたか」の真実の情報だと思います。しかし、人間、公開したくない行動もあるわけで・・・そのあたりはどのように対処されていますか?
センシングのシステムとどのようなことを明らかになるかを説明し、本人承諾を取った上で行っています。
脈拍ではなく、脈波をデータとして集める方がより多くの情報が集められると考えるが「脈波」を利用する予定はあるか?
脈拍、脈波ともに重視しています。新しい実験フレームでは乳木しているところです。
センサデータが誤っている(センサが壊れている)かどうかはどのように判定する(知る)ことができますか?
被験者によってどのような行動を行っているか入力していただき、コンピュータの自動判別結果と照合させ、誤ったデータについて分析しています。
センサー機器を身に付ける人は病気の疑いのある人のみが対象ですか?かなり健康な人も(健康と思われる人も)予防のため対象として考えられていますか?
基本的には、生活習慣病の方とその予備軍に実験に参加していただいていますが、健康な方の行動データも収集しています。
予防医療の経済的効果のエビデンスは?センシングされる個人のモチベーションは?
経済効果については、定健診・保健指導制度における初回面談の個別の準備40分のうち、「生活習慣の振り返り」と「行動目標の設定」の2項目で5分ずつ削減できることが判明した。日本全体で約1400万人と推算される保健指導対象者に対して最大で毎年1.4億分間の削減が見込まれることになる。個人のモチベーションについては、疾患の進行防止をデータによって可視化できることと考えます。
ご研究内容と似た事例を国内企業でも拝見したことがあります。国内外での取り組み状況についてご教示下さい。
我々の研究と詳細は異なりますが、近似の研究があることを確認しています。IT企業、政府(経済産業省、総務省、厚生労働省など)でも関心をもっていらっしゃいます。
なるべく少ないデータで予防に役立つ行動を設計する、という研究は行っていますか?(データを取られる事は患者にとってハッピーではないため)
ご意見に全く同感です。加速度(行動)センサー、発汗(湿度)センサー、脈センサーなどの実験を行っていますが、どのセンサー情報が被験者の医療データと相関が高く、代表的なセンシングデータになるのかについて検討しています。
機械学習は何を用いたか、もしくはそこに何か独自性はあるのでしょうか?正答率は何%あれば医療向け(アプリ)に使えるのでしょうか?
フーリエ変換と意思決定ツリーを用いました。正答率は平均して約70%です。重要な医療判断を伴う場合には、相当正答率を高めなければならないと思います。現時点では、医師の判断の補助データと考えます。補助データとしてであれば、医療向けアプリとして使えると思います。
実験データの結果数値67.39%-93.72%のように下2桁まで表記。これは不要ではないでしょうか? 口頭では67%-93%と述べられましたが・・・
口頭では不要と思い、小数点以下を省きました。
くだらない質問で恐縮です。たまたま今日職場でヒューマンエラーが重なって、バックアップデータが喪失して、ちょっとした騒ぎになりました。復旧は無理らしいのでこれから大変なんですが、膨大なデータを分析しているようですが、データのバックアップは大丈夫ですか?停電とか想定外のことも。
おっしゃる通り、事業継続性が重要になりますので、バックアップは不可欠と考えています。
スマートフォンやホームサーバーというのは、日常のデバイスとしてハードルがまだまだ高い。新たなデバイスがなければ、システムが成立しないのではないでしょうか?
サーバーはサービス提供者サイドにあればよいので、サービスを受ける人は、wifiでデータが送れる端末さえあればよろしいと考えます。iPodタッチ(他のさまざまな用途にも使用可能)であれば2万円くらいで入手可能です。
健全なビジネスモデルとして成立する匂いがまだしないのですが、何が必要でしょうか?研究ではなく、ビジネスのレベルではどこの国が先行しているのでしょうか?日本がやるべきことは何でしょうか?
長期的な経済効果、経営改善効果、明確な予防医療効果を提示できれば、ビジネスモデルとして成立可能と考えます。実験を重ね、データを集積することが現時点では重要と考えます。
医療費の削減と医療不足をITは解消できるのでしょうか?通信費とIT医療費のバランスはとれるのでしょうか?
定健診・保健指導制度における初回面談の個別の準備40分のうち、「生活習慣の振り返り」と「行動目標の設定」の2項目で5分ずつ削減できることが判明した。日本全体で約1400万人と推算される保健指導対象者に対して最大で毎年1.4億分間の削減が見込まれることになり、医療人件費の削減効果はあると考えます。通信を含む維持費と医療節減効果のデータを集積する必要があると思います。
センサーネット利用者は半永久的に利用するのでしょうか?一定期間だけなのでしょうか?また、国民皆保険のように全該当者のセンサーネット利用参加を目指されるのでしょうか?それともあくまで本人の自由意思でしょうか?
この実験では、一定期間に限ったものですが、生活習慣病の方の場合、あきらかに改善効果がみられるまで使っていただくべきものと考えます。また本人の自由意思が基本だと思います。
「医療を支えるセンサーネットワーク」におけるイノベーションは何か?
医療費の増大抑制、個々の患者の状態把握をより的確に行い、画一的な医療から個々の特性に応じたオーダーメイド医療の発展に役立てることができます。
「健康に留意し、健康状態を保っている人は、何らかのインセンティブが得られる」という何らかの"法的"整備(たとえば減税などのインセンティブ)が行われると、「予防のための健康管理」に対する人々の関心は必然的に増加し、「センサーネット」というものは産業として成立すると思うのですが、現在日本では、または先進国ではこのような考え方はないのでしょうか?講演の中で保険料率?とおっしゃってましたが、もっつと明確な金額として見えるインセンティブが必要なのではと思います。
<質問の背景>我々は健康でありたいと思っています。ただ、深刻な病気にならない限りはそれに気づきません。だからわざわざ健康な時にセンサを使って何かを計測しようと思わないし、お金を出してまでセンサNWを構築しようとしてくれません。しかし、健康になれば、国からご褒美がもらえるとなれば、人は健康に関心を示し、お金を払おうと思うのです。そうでないと、いつまでも予防のセンサNWが産業として根付かないと思うのです。
おっしゃっている趣旨に賛成します。しかし、医療制度の根本理念を抜本的に検討し、国民のコンセンサスを得る必要があります。現時点では、本人と医療従事者の自発的な意思決定にもとづいた枠組みでしか行うことができません。しかし、保険料率が差別化されることはインセンティブとして重要になると思います。
遺伝子(DNA)治療分野が注目されています。本人の持つ遺伝子(静的)とセンサー技術(動的)を組み合わせるとより本人にあったタイムリーな予防が実現できると思います。遺伝子治療との連携はできているのでしょうか? またはそのような計画はあるのでしょうか?
おっしゃる通りです。われわれも遺伝子情報との相関に強い関心をもっています。しかし、非常にセンシティブな取り組みになりますので、関係する人々の合意、厳重な個人情報管理(制度、システムともに)ができなければ、取り組むことができません。
Other candidate than iPod (iPhone)?
加速度センサーを制御できるソフトウェアをインストールできる端末であれば、どのような端末でもよいと考えます。
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