研究 / Research
コンテンツ科学研究系
YAMADA Seiji
コンテンツ科学研究系 教授
研究紹介
人と機械の"調度よい"関係を探る
科学技術の進歩によって、複雑な動作や大量の情報処理ができる高度な機械が実現し、ロボットのような機械を利用した人間活動の支援が検討されています。しかし、便利な機械が求められる一方で、人が便利だと"感じる"機能は何か、定かではありません。すべて自動でタスクをこなす機械が便利かといえばそうでもなく、少しでも人の意向から外れると、人は不快感を覚え、使いづらいと感じてしまいます。ですから、機械は単独ではなく、人を含めたひとつのシステムとして設計すべきでしょう。私は、機械と人がうまく役割分担をすることが大切だと考えています。そこで人と機械のインタラクションに注目し研究を行っています。
機械が人を助け、人が機械を助ける
人と機械がインタラクションするためには、接してみようと思える親しみやすさが重要です。「不気味の谷」という言葉をご存知でしょうか。生物に似せた人工物(例えば人形やロボット)に対し、ある段階までなら親しみを感じるものの、それを過ぎると親しみが嫌悪感に転じる現象をさします。似すぎることで差異が強調されるためだと考えられています。このように、機械の"見た目"は、人の感情にとても影響します。そこで私は、さまざまな形状のロボットを使った認知実験を行い、ロボットの"見た目"が、どのように影響するのか調べています。
一例として、メカニックな外見のロボットとかわいらしい犬の姿を模したロボットが、自身の不調を伝える信号を発するときの人の受けとめ方を比較しました。すると、犬のロボットが元気のない様子で動くより、メカニックなロボットがビープ音(単純な音の信号)を発するほうが、より直感的に理解できるという結果を得ました。さらに、これらの研究結果を反映させ、新しいロボットのデザインにも取り組んでいます。このように機械やコンピューター上の仮想キャラクター(擬人化エージェント)に対する人の関わり方を研究する分野をヒューマンエージェントインタラクション(HAI)といいます。
ストレスを感じさせない工夫
さて、使いやすさには、手間がかからないことも重要です。そこで私は、わざわざ機械に情報を与える手間を省くため、思考中にマウスを回すといった人の"くせ"を機械に読み取らせ、人とのインタラクションに生かすことを検討しています。また、知的Web インタラクション(IWI)という、最小限の手間で精度よく検索するプログラムの研究も行っています。できるだけ人に負担をかけず、快適に使うことができる機械を実現するために、研究しなければいけないことは山のようにあります。ですから、この研究分野を広めていくこと、これも重要な課題だと考えています。