ニュース / News

ニュースリリース

「量子暗号に30年ぶりの新原理」-「読まれたら気づく」から「読めない」手法へ-

量子暗号は、量子力学の性質を利用して、盗聴者の計算能力や技術レベルに依存しない強固なセキュリティを持った通信を可能にする技術です。既存の量子暗号方式は全て、盗聴者が盗み見ると変化する通信路の雑音量を監視することで、不確定性原理を介して盗聴された情報量を見積るという仕組みに基づいていました。東京大学大学院工学系研究科の小芦雅斗教授と理化学研究所の佐々木寿彦特別研究員(当時、東京大学大学院工学系研究科 特任研究員)は、国立情報学研究所の山本喜久教授とともに、従来とは全く異なる動作原理に基づく量子暗号方式を提案し、通信路の雑音量を監視せずにセキュリティを確保できることを証明しました。新方式は、基本的に通常のレーザー光源と干渉計の組み合わせにより実現可能で、盗聴者は何をしても、一定の小さい情報量しか得られません。本成果は「読まれたら気づく」方式から、「そもそも読まれない」方式への大きな転換です。従来の方式に比べると、監視に関わる手間が省かれ、雑音が大きい通信路でも秘匿通信が可能になります。この成果は、量子暗号の最初の提案以来30年ぶりに、本質的に新しい量子効果の利用法を提唱するもので、暗号にとどまらず、広範囲な発展が期待されます。本研究は、最先端研究開発支援プログラム(FIRST)ならびに先端光量子科学アライアンス(APSA)の支援のもとに行われました。

詳細はこちら

1685

注目コンテンツ / SPECIAL