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「SINET5」の活用に関するアイデアソンを開催/「SINET賞」「SINET学生賞」を決定

大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)は、学術情報ネットワーク「SINET5」の活用に関するアイデアソン「100Gbps/フルメッシュだから○○」を6月10日の「国立情報学研究所 オープンハウス2017」の中で開催し、優秀賞である「SINET賞」に「チームOHU」(上崎燿一、太田雅司、広沢真璃)、学生チームを対象とした「SINET学生賞」に「チーム音響カプラ」(尾崎周也、城一統)を、それぞれ選出しました。

SINET(Science Information NETwork)は、NIIが日本全国の大学や研究機関などの学術情報基盤として構築・運用している情報通信ネットワークです。現在、850以上の大学や研究機関などが加入しています。平成28年(2016年)4月からは、国内の全都道府県を100Gbpsの超高速ネットワークでつなぎ、日米間にも100Gbps回線を新設するなど国際回線も強化した「SINET5」の本格運用を開始しました。

NIIは、通信速度100Gbpsという「広帯域」や全国をフルメッシュでつないだことによる「低遅延」というSINET5の特性をいかして、これまでは実現できなかったイノベーションを生み出すために、本アイデアソンを開催しました。チーム単位(1~3名)で参加する形式で、大学や企業、フリーランスなど様々なバックグラウンドを持つ8チーム(計17人)がアイデアを競いました。

「チームOHU」は通信業界で働く社会人3人が集まったチームです。「音楽文化の継承」にSINETを使うアイデアを提案しました。シュトックハウゼン作曲「3つのオーケストラのための『グルッペン』」のように、複数のオーケストラが別々に演奏して一つの曲を形成する音楽のための環境をSINETが提供します(図)。国内では複数のオーケストラが一同に集うことのできるホールは極めて限られており、こうした演奏をする機会を確保することは困難です。 SINETの低遅延性を活用してオーケストラの遠隔多拠点生演奏を実現するという点が高く評価されました。

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図 チームOHUが提案した「3つのオーケストラのための『グルッペン』」の遠隔多拠点生演奏イメージ

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの同じ研究室で学ぶ2人による「チーム音響カプラ」は、遠隔講義に仮想現実 (Virtual Reality:VR)を用いるアイデアを披露しました。映像がスクリーンに投影されるだけで現実感がないという遠隔講義の問題点を、VRを用いて講義することにより解決するという提案です。学生はVR映像を視聴できるヘッドマウントディスプレーを装着し、ホスト側は複合現実(Mixed Reality:MR)を用いることにより、学生と講師のインタラクションを教室で行う通常の講義と比べても充実感の高いものにできると訴えました。仮想・複合現実講義環境の構築にSINET5の広帯域と低遅延性を利用する点が高評価のポイントとなりました。

本アイデアソンは「学際大規模情報基盤共同利用・共同研究拠点(JHPCN)」および「VRbeat」にご協力、ご協賛いただきました。

NIIでは、今回のアイデアソンで提案されたアイデアについて、実現性の高いものについては今後のSINET事業に採り入れる予定です。SINET5の活用法を募るアイデアソンの開催は、昨年11月(*1)に続いて今回が2回目です。NIIは今後も利用者の声に積極的に耳をかたむけ、日本の学術研究を支える学術情報基盤をさらに発展させていきます。(文中敬称略)

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(*1)平成28年(2016年)11月21日付ニュースリリース「『SINET』賞受賞チームを表彰/SINET100Gbps化記念アイデアソン『どう使う? SINET5』」参照。
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