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ニュースリリース
SINET「広域データ収集基盤」を活用した実証実験を公募
~学術情報ネットワーク「SINET5」とモバイル通信を直結した新サービス
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII、所長:喜連川 優、東京都千代田区)は、10月12日から、学術情報ネットワーク「SINET5」とモバイル通信を直結した新たなサービス「広域データ収集基盤」を活用した実証実験の公募を開始します。
広域データ収集基盤では、SINET加入機関の研究者は、SINET接続用のSIM(*1)を用意し観測機器などに装着することで、その観測機器からデータを収集し、種々のデータ処理環境でデータを解析、そしてその結果をワンストップで研究にフィードバックすることができます。本実証実験の期間においては、広域データ収集基盤に加え、民間の協力事業者6社の協力によりデータ処理環境をアカデミック条件で利用できます(*2)。これにより、各種環境測定や生体観測、災害防止のための監視などが容易かつ広域に実現でき、研究の幅の広がりが期待されます。
広域データ収集基盤を利活用し、これまでSINETが接続できなかった場所での研究データ収集や遠隔地との共同研究、IoT関連研究など幅広い分野の研究提案を広く募集します。
「学術情報ネットワーク(Science Information NETwork: SINET)」は、NII が構築・運⽤する情報通信ネットワークで、⽇本全国の⼤学や研究機関などにおける研究・教育活動を支えています。現在850以上の⼤学や研究機関などが加⼊しており、国内の全都道府県を 100Gbps の超⾼速ネットワークで結び、先進的なネットワーク利用環境を研究者や学生に提供しています。
NIIは、学術情報基盤の新たなサービスとして、SINET5とモバイル通信を直結した「広域データ収集基盤」の提供を開始します。本サービスでは、これまで有線のネットワーク回線では接続できなかった広範囲のエリアや立ち入り禁止地域、海上などの遠隔地において、民間モバイルキャリアが提供するモバイル網を活用し、研究データを取得することができます。こうして得られた研究データは、モバイル通信環境とSINET5で提供しているセキュリティに配慮したネットワークサービス(L2VPN(*3)サービス)とを連携させることで、セキュアに保存・収集することが可能です。さらに本サービスでは、民間の協力事業者が提供する計算リソースなどのデータ処理環境への接続機能を連携させるため、ワンストップかつ広範囲な研究環境を実現することが可能となります(図)。
SINET加入機関の研究者は研究環境の構築において、本サービス以外の通信回線を確保しなくても、SINET接続用のSIMを用意し観測機器などに装着することで、その観測機器からデータを収集し、種々のデータ処理環境で解析、そしてその結果を研究にフィードバックすることができます。これにより各種環境測定や生態観測、災害防止のための監視などが容易かつ広域に実現でき、研究の幅の広がりが期待されます。
〈図〉SINET「広域データ収集基盤」のイメージ
公募の概要:
NIIでは「広域データ収集基盤」を活用する実証実験の公募を行い、様々な研究分野からの提案を募集しています。実証実験の期間は2018年12月から2020年3月までの予定で、2020年4月以降の本格提供に向けたサービスの向上を目指します。今年7月に行った1回目の公募においては、19件を採択しました。今回新たに研究分野の拡大を狙い2回目の募集を行います。
これまでは、SINETのL2VPNで接続している大学などの計算機環境や「SINETクラウド接続サービス(*5)」で接続している商用クラウドサービスが利用可能でしたが、これに加えて、実証実験の期間中、新たに民間の協力事業者により、広域データ収集基盤のためにカスタマイズされた計算リソースなどのデータ処理環境もアカデミック条件で利用可能となりました。本実証実験の取り組みに賛同いただいた協力事業者の数は現在6社で、今後も増える予定です。研究者は、協力事業者が提供する多様なデータ処理環境を選択でき、研究に活用することができます。公募の詳細情報やデータ処理環境の提供状況は、SINETのウェブサイト「2018 年度SINET広域データ収集基盤実証実験」( https://www.sinet.ad.jp/wadci )に掲載します。
また「広域データ収集基盤」に関連し、SINETを活用した最先端研究を紹介する「SINET特別セッション(講演会)」を実施します。SINETで新たに提供するモバイルサービスや高度クラウドサービスを活用した最先端の研究を、それぞれの分野で活躍する大学の研究者が紹介します。
NIIは、SINET「広域データ収集基盤」を通じて、大学や研究機関の研究がより一層発展することを期待しています。本実証実験によりSINETやクラウドの活用の幅を広げ、サービスの利便性を高めることで、最先端学術情報基盤の一層の発展に取り組んでいきます。
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ニュースリリース(PDF版)
SINET「広域データ収集基盤」を活用した実証実験を公募
~学術情報ネットワーク「SINET5」とモバイル通信を直結した新サービス~
(*2) データ処理環境:東日本電信電話株式会社、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、KDDI株式会社、さくらインターネット株式会社、Amazon Web Services, Inc. 、株式会社 佐賀IDCなど6社が提供する共同研究ベースの条件付きの計算リソースなど(2018年10月12日現在)。利用者(公募採択者)は、サービスを選択し事業者と契約することで利用が可能。今後の協力事業者の追加や提供概要は、ウェブサイトに掲載予定。
(*3) L2VPN(Layer-2 Virtual Private Network):レイヤ2(イーサネット系)で実現される、通信相手を特定したプライベートな専用回線であるかのように仮想的に利用するサービス(仮想閉域ネットワーク)。
(*4) GPUサーバ:科学シミュレーション、機械学習、データ解析などを実行するため、グラフィック処理ユニット (GPU:Graphics Processing Unit) と CPU を併用搭載したサーバのことをいう。
(*5) 2017年3月16日付ニュースリリース「『SINETクラウド接続サービス』を利用可能なクラウド事業者数が「20」超に/大学・研究機関のクラウドの効果的な利活用を支援」参照。
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