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ニュースリリース
学術情報サービス基盤CiNiiの開発業績によりNII客員准教授/東大人文社会系研究科准教授の大向一輝が令和2年度 文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)を受賞
文部科学省が本日4月7日に発表した「令和2年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰」において、「学術情報サービス基盤CiNiiの開発」の業績により、情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)客員准教授/東京大学 大学院人文社会系研究科 准教授の大向一輝が「科学技術賞(開発部門)(*1)」を受賞しました。
この受賞は、受賞者が2019年8月まで在籍していたNIIで開発を主導してきた、学術情報を検索できるデータベース・サービス「CiNii(NII学術情報ナビゲータ[サイニィ])」が評価されたものです。
受賞者は、NIIが大学共同利用機関として行う共同利用事業の一環として、教育研究活動に必要な学術情報の収集・管理およびその検索機能および提供機能を有するサービス基盤であるCiNiiの開発と普及を主導しました。この成果を通じて、研究者・学生・一般利用者が国内の学術情報を発見する可能性および入手する可能性を向上させました。複数の機関から提供される文献情報から重複する情報を自動的に判別・統合するデータ管理システムと、学術情報の種別ごとに詳細検索項目を自由に定義可能なサービス提供システムを開発し、大規模かつ多様な情報を高速に処理することで学術情報および利用者の増加に即応するサービス基盤として実現しています。
開発した学術情報サービス基盤CiNiiの現在の検索対象は学術論文約2000万件、大学図書館蔵書約1200万件、博士論文約60万件であり、外部連携先の拡大に伴い年々増加しています。また、年間総アクセス数は4億回を記録し、教育研究活動に不可欠な情報基盤として広く認知されています。さらに、他機関が運営する機関リポジトリやデジタルアーカイブ等の情報基盤へのアクセス性の向上にも貢献しています。
CiNii(NII学術情報ナビゲータ[サイニィ])https://ci.nii.ac.jp/
どなたでもご利用いただける、論文、図書・雑誌や博士論文などの学術情報を検索できるデータベース・サービスです。次の3つのサービスで構成されています。
CiNii Articles - 日本の論文をさがす:
学協会刊行物・大学研究紀要・国立国会図書館の雑誌記事索引データベースなどの学術論文情報を検索できます。
CiNii Books - 大学図書館の本をさがす:
全国の大学図書館等が所蔵する本(図書・雑誌)の情報を検索できます。
CiNii Dissertations - 日本の博士論文をさがす:
国内の大学および独立行政法人大学評価・学位授与機構が授与した博士論文の情報を検索できます。
【令和2年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰 科学技術賞(開発部門)】
学術情報サービス基盤CiNiiの開発
氏名:大向 一輝(おおむかい・いっき) 年齢:42 職名:情報・システム研究機構 国立情報学研究所(NII)客員准教授 |
(年齢は本年4月1日現在)
業績要約:
従来の学術情報サービスでは、多数の機関が整備する情報の検索にあたり、大規模なアクセスへの耐性が低く検索結果の順序や形式が理解しづらい横断検索、連携先の多様化など外部状況の変化に応じた柔軟な構成変更や改善が困難な統合検索のいずれかの手法が採用されており、利便性に欠ける問題があった。
本開発では、複数の機関から提供される文献情報を一括管理し、重複情報を自動的に統合する名寄せ機能を有するデータ管理システムの構築に成功した。さらに、学術情報の種別ごとに詳細検索項目を自由に定義でき、アクセス数の増加に対応して低コストで規模の拡張が可能なサービス提供システムを開発することに成功した。
本開発により、学術論文約2000 万件、大学図書館蔵書約1200 万件、博士論文約60 万件が検索対象となり、利用者が容易に学術情報に到達することが可能になった。年間総アクセス数は4 億回を記録している。またデータ管理システム上の情報は他機関の情報基盤にも提供している
本成果は、国内外の教育研究活動の発展に貢献するとともに、国民全体の学術情報へのアクセス機会を増大することで、科学的知見の普及に寄与している。
大向NII客員准教授/東大人文社会系研究科准教授コメント:
この度は科学技術賞という名誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。システムの開発や運用にあたっては、国立情報学研究所の学術コンテンツ事業に携わる現担当のみなさま、そして歴代の担当のみなさまから多大なるご支援やご協力をいただきました。またCiNiiの検索対象である学術情報は全国の大学図書館ならびに学協会をはじめとして多くの方々に支えられています。今回の受賞に導いてくださいましたみなさまに心より感謝申し上げます。近年のオープンサイエンスの潮流の中で、分野を問わない情報提供を担う学術情報サービス基盤と、それぞれの専門分野との関係性は大きく変化していくものと思われます。今後は人文学の立場から学術情報流通に参画し、日本の学術の発展に貢献できるよう取り組んでまいります。
関連リンク
構造化特異値の新しい解釈とそのシステム科学への応用研究によりNII准教授の岸田昌子が若手科学者賞を受賞〜令和2年度 科学技術分野の文部科学大臣表彰〜 (NIIサイト)
ニュースリリース(PDF版)
学術情報サービス基盤CiNiiの開発業績によりNII客員准教授/東大人文社会系研究科准教授の大向一輝が令和2年度 文部科学大臣表彰・科学技術賞(開発部門)を受賞
※本発表は国立大学法人 東京大学 大学院人文社会系研究科との共同発表です。
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