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情報学の技術を使って化学の宝探しをしてみませんか?
メタンからエタンを効率的に生成する触媒を機械学習の手法で探すコンペティションを開催

 大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 (NIIエヌアイアイ、所長:黒橋くろはし 禎夫さだお、東京都千代田区) の宇野うの 毅明たけあき 教授(情報学プリンシプル研究系)が参加する触媒コンペ運営委員会(高橋触媒CREST、湊学術変革A共催)は、メタンからエタンを効率的に生成させる触媒を機械学習の手法を使って探し出すコンペティション「Citizen Innovators : The Catalysts Arena」を開催します。(https://afsa.jp/CDArena)
 応募期間は2024年10月1日から2024年11月20 日で、コンペティションの投稿フォーム(https://forms.gle/ixqyHct8jRE128N36)から受け付けます。
 投稿された触媒の候補の物質は、実行委員会が実際に実験して触媒としての働きを評価し、上位3件の投稿については、表彰式を行って表彰するとともに、受賞者による発表会も行います。

【コンペティション実施の背景】

 AI技術が目覚ましく発展するなか、近年、こうした情報技術を活用して、高機能な触媒など、新たな物質を探索する試みが、活発に行われるようになってきました。
 一方、ビニールや合成繊維、水道パイプなど、我々の生活を支えるさまざまな素材の原料となるエタンは、天然ガスなどから安価に抽出できるメタンから、メタン酸化カップリング反応で生成することができることは知られていますが、メタンを反応させる過程で多くは燃焼してしまうなど、この方法での生成は難しく、反応を効率的に行うための触媒の発見が、大きな課題となっています。
 これまでは、こうした触媒の探索は主に化学者によって行われてきましたが、情報技術の発達により、専門家でなくても興味がある人は誰でも、化学について学び、知見を深めることができるようになってきました。そこで、今回のコンペティションでは参加者の制限は設けず、化学に興味のある方なら、どなたでも、この「未発見」の触媒探しに加わることができる機会を設けることにしました。

【応募について】

 コンペティション公式ウェブサイトの応募フォームから、触媒の候補となる物質の組成と、その触媒の候補となる物質を導き出した手順をまとめて、投稿してください。触媒候補を導き出すにあたって、コンピュータを使っても、手で計算しても構いませんが、情報技術・情報学的なアイディアで行ってください。参加者1人あたり、15個まで触媒候補を応募することができます。

【評価方法】

 投稿された触媒候補の評価実験は、コンペティション運営委員の西村 俊 北陸先端科学技術大学院大学准教授の研究室で行います。基本的には、投稿されたすべての触媒候補のうち、第一希望について、エタンの収率を測定し、最終的な順位を決めます。

【運営委員】

高橋 啓介 北海道大学・教授
西村 俊 北陸先端科学技術大学院大学・准教授
瀧川 一学 京都大学・特定教授
安田 宜仁 NTTコミュニケーション科学基礎研究所・主幹研究員
石畠 正和 NTTコミュニケーション科学基礎研究所・主任研究員
宇野 毅明 国立情報学研究所・教授

応募に関する詳細は、公式ウェブサイト
https://afsa.jp/CDArena
をご覧ください。

宇野 毅明 教授からのコメント:

「機械学習のコンペティションは世の中に数多くありますが、単に精度を競うのではなく、実際に新しいものを見つけ、それを科学者が実験し、新発見につながる、ようなものはほとんどないと思います。情報学の研究者として、自分が解析した結果を実際に実験してもらえる機会は、長い研究人生においてもほとんどありません。是非応募していただければと思います。」

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メタンからエタンを効率的に生成する触媒を機械学習の手法で探すコンペティションを開催

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