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ニュースリリース
CiNii Research自動翻訳機能 試行版の提供開始
~日本語が理解できない利用者でも日本語論文の検索が可能に~
大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 (NII、所長:黒橋 禎夫、東京都千代田区) は、NIIが開発し提供している学術情報検索サービスCiNii Research*1の利用拡大、特に非日本語話者への普及促進を目的とし、2024年10月21日(月)よりCiNii Research 自動翻訳機能の試行版を提供します。本機能を利用することで、英語のキーワードを用いて日本語論文を検索できるようになり、また、検索された日本語論文のタイトルや著者を英語に翻訳して表示することが可能となり、日本語が理解できない利用者の利便性が大幅に向上することが期待できます。
NIIは、この試行版の提供を通じて得られた知見を基に、日本の学術情報のグローバルな流通、利用拡大に向けて、更なる機能強化を検討していく予定です。
【新機能開発の背景】
CiNii Researchは主に日本国内で執筆された論文を収録しており、収録論文の半数は日本語で書かれているため、日本語論文を検索するためには日本語のキーワードを用いる必要がありました。このため、CiNii Researchの海外からのアクセスは全体の15%に留まっており、海外に向けた日本語論文の情報発信、利用拡大が課題となっていました。
【新機能の特徴と期待される効果】
そこで、NIIでは、CiNii Researchに収録している日本語論文のメタデータ(表題、著者、抄録など)に対して、自動翻訳を活用してあらかじめ英語のインデックスを作成し、英語キーワードの入力に対しても日本語論文のメタデータがヒットできるようにして評価を行ったところ、英語による日本語論文の発見機会が大幅に向上(検索結果の件数が約1.5倍に増加)することを確認しました*2。
これを受け、NIIでは、CiNii Researchに収録されているすべての日本語論文のメタデータを英語に拡張した試行版を開発しました。試行版では、検索結果として表示される日本語の論文リストを英語で表示する機能を併せて実装することで、従来、日本語が理解できないためにCiNii Researchが使えなかった利用者でも、英語キーワードを用いて日本語論文を検索することが可能となり、海外からの日本語論文の活用が促進されることが期待できます。
【公開日と今後について】
今回開発した試行版は、従来のCiNii Resaearchの使い勝手はそのままに、英語キーワード入力時の検索と結果の表示が強化されています。日本語から英語への翻訳は事前に一括実行して翻訳結果を蓄積しているため、既存のサービスと比較して検索時間の遅延が生じることはありません。本試行版は、CiNii Research実験的なサービスやコンテンツを公開するポータルサイトであるCiNii Labs*3上で、2024年10月21日(月)より公開します。そして、試行の結果を踏まえ、2025年度中に本機能をCiNii Researchの正式版に組み込んで提供することを計画しています。
関連リンク
- 国立情報学研究所 オープンサイエンス基盤研究センター
- 知識コンテンツ科学研究センター
- 予稿集:情報知識学会誌 Vol34 No.2
(論文「学術情報検索サービスCiNiiの機械翻訳活用による海外利用者拡大の試み」を掲載)
News Release: PDF
CiNii Research自動翻訳機能 試行版の提供開始
~日本語が理解できない利用者でも日本語論文の検索が可能に~
*2 「学術情報検索サービスCiNiiの機械翻訳活用による海外利用者拡大の試み」第32回情報知識学会年次大会、2024年発表
*3 CiNii Labs:https://labs.ci.nii.ac.jp/
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