研究 / Research

JST CREST

JSTの戦略的創造研究推進事業(Core Research for Evolutionary Science and Technology:CREST)。
国が定める戦略目標の達成に向けて、独創的で国際的に高い水準の基礎研究を推進し、今後の科学技術イノベーションに大きく貢献する卓越した研究成果を創出することを目的としたチーム型研究です。

ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化

研究総括:NII所長 喜連川優
領域アドバイザー:特任教授 石塚満

ICTの社会浸透に伴い、さまざまな分野で得られるデータは指数関数的に増大し、多様化し続けています。
これらの分野を越えたビッグデータを統合解析し、次世代基盤技術の創出・高度化・体系化を実現するため、研究総括の喜連川所長、領域アドバイザーの石塚特任教授のもと、NIIからは2人の研究者が研究代表者としてそれぞれの課題に取り組んでいます。

データ粒子化による高速高精度な次世代マイニング技術の創出

研究代表者:情報学プリンシプル研究系教授 宇野毅明

 ビッグデータ時代の到来とともに、科学や社会や経済などの様々なデータが利用されるようになってきました。様々なデータ解析の中でも、ノイズだらけのデータの中に埋もれた意味や隠れた性質を見つけ出すことは、新たな科学的発見や社会構造の細やかな把握、新商品開発や顧客サービスにつながります。ここで重要となるのが、意味や性質につながるような、データの一部分を抽出することです。データマイニングは、このような一部分を見つけ出す技術ですが、適切な構造を適切な計算コストで見つけることは難しいというのが現状でした。

 本プロジェクトでは、このようなデータの一部分を粒子という構造として明確化し、データの意味を比較的簡単に取り出せるような技術「データ研磨」を開発しました。今までにない速度と精度を持つ革新的な技術で、様々な種類の巨大なデータに適用可能です。すでに婚活データ、インターネット広告、新聞記事、購買データ、腸内細菌などのデータに適用し、いくつもの企業で利用されるとともに、様々な知見を生み出しています。

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インタークラウドを活用したアプリケーション中心型オーバーレイクラウド技術に関する研究

研究代表者:アーキテクチャ科学研究系教授 合田憲人

 スーパーコンピュータやクラウド、さらにそれらを接続するネットワークの高性能化に伴い、高性能ネットワークを介して複数のクラウドを連携させたインタークラウドを構築し、大規模データ処理へ活用することが可能になりつつあります。しかし、現在の技術では、ユーザが計算機やネットワークを個別に設定して、データを処理するための計算環境を構築しなければならず、技術的かつ時間的な大きな壁があります。

 本研究では、アプリケーション毎に最適化された大規模データ処理環境をネットワーク接続された複数のクラウド上に高速かつ自動的に作成する基盤技術を開発することを目的としています。本研究成果を用いることにより、クラウドを活用して大規模データを高性能かつ簡単に処理することが可能になります。ゲノム解析と流体音解析分野の研究者と共同で、これらの分野のアプリケーション開発にも取り組むほか、大学等の情報基盤センターの研究者とともにインフラの構築・運用を行うことも目指しています。これらの研究を、北海道大学、国立遺伝学研究所、東京工業大学、九州大学の研究グループと共同で進めています。

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インタークラウドを活用したアプリケーション中心型オーバーレイクラウド技術

人間と情報環境の共生インタラクション基盤技術の創出と展開

VoicePersonae: 声のアイデンティティクローニングと保護

研究代表者:コンテンツ科学研究系教授 山岸 順一

音声は手軽で、自然で、直感的なモダリティの一つです。また同時に、音声は私たちのアイデンティティの一部でもあり、生体認証、音声合成、声質変換、プライバシーなど複数の異なる分野において重要なファクターであると言えます。しかし、現在これらの分野では相反する目標に向けて個別に研究が進められています。

このプロジェクトでは、声のアイデンティティに関する分野の壁を取り除き、(a)話者アイデンティティのモデル化技術を高精度化し、(b)音声による生体認証「話者認識」の安全性と頑健性を高め、(c)音声のプライバシー保護に関する新しい技術を実現します。

話者アイデンティティの緻密なモデル化は、個人の特徴を再現するアバターなどの応用例に必要とされます。従来は音声合成、声質変換、音声強調など個別に研究されていましたが、このプロジェクトでは複数話者が対象である種々の音声生成タスクとして統合し、新たなモデルを実現します。音声生成だけでなく話者認識技術との統合も検討しています。

また話者認識の安全性を高めるため、なりすまし音声の自動検出技術である音声の生体検知について研究も行います。

さらに、音声プライバシーの研究を加速させるため、音声の匿名化と再識別化を競い合うチャレンジを世界に先駆け開催します。

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